こんにちは。本日は、不整脈シリーズとしては最終回『心房細動を予防するには』についてお話ししたいと思います。心房細動になりやすい「リスク因子」について 心房細動は、以下のようなリスク因子と関係して起こるといわれています。・年齢、性別、遺伝的要因、心臓弁膜症、心不全、冠動脈疾患(狭心症など)・肥満、高血圧、糖尿病、尿酸、喫煙、睡眠時無呼吸症候群、アルコール過剰摂取いろいろリスクになる要因はあるのですが、年齢、性別、遺伝・・・など上の段に書きましたリスクは、どうしようもないリスクです。それに対して下の段に書きましたリスクについては、予防・治療・介入が可能であるリスクになります。「心房細動の発生にこれらのリスクが関係する」ことは様々な研究で明らかになっていて、これらの予防が心房細動の発生を予防する可能性が指摘されています。ただ「これらのリスクを減らす事によって心房細動の発生リスクが具体的にどのくらい減るのか」についてはまだ大きな研究はなく、未だに明らかになっていない部分です。しかし、それらは心臓血管病のみならず様々な病気の原因になる重要な因子ですので、それらの対策を行うことは心房細動の予防だけでなくとても価値があると思います。心房細動の予防のために上にお示しした心房細動の発生のリスク因子を、予防という観点からいくつか少し深堀りしてお話しいたします。①高血圧高血圧は、心房細動発生の最も大きいリスクの一つです。血圧が高いことにより、物理的な負担が心臓にかかり続けることが心房細動が発生する下地になってしまう可能性が指摘されています。高血圧の一部の内服では心房細動が減るかもしれないと言われていますが、まだ研究不足で正確なことはわかっておりません。血圧は心房細動だけでなく、心臓・血管の関連する多くの疾患の大きいリスクでもありますから、適正な血圧を保てるよう、生活習慣の改善を心がけましょう。家庭血圧の測定もとても大事です。知らない間に心房細動リスクを放置することがないように、家庭血圧を測定し、高血圧がないかどうかチェックしてください。②肥満肥満の目安としてBMI(肥満指数)という数値があります。BMIは体重÷身長の2乗(kg/m2)で表す数値で、健康診断でも必ず記載されているおなじみの値です。BMIの上昇は心房細動の発生と関係しているといわれています。BMIが高い方は減らすことで、心房細動のリスクを減らすことができるという研究もあります。痩せすぎはよくありませんが、肥満のある方は減量することで心房細動を減らす効果があると考えられています。③アルコール・喫煙アルコールが増えると、心房細動の発生リスクが上がるといわれています。アルコールの量が増えるにしたがって心房細動の基盤となる心房のサイズが大きくなるという報告もあります。また、たばこも心房細動発症の重要な因子の一つと言われています。アルコール・たばこ共に生活習慣病だけでなく、様々な病気のリスク因子です。ぜひ節酒・禁煙を心がけてください。④睡眠時無呼吸検査睡眠時時無呼吸症候群も、心房細動発症の大きなリスク因子です。無呼吸の重症度が高いほど、そのリスクは上がるといわれています。自覚のない方もいますので気が付くのは簡単ではないですが、心当たりのある方は一度検査をお勧めします。当院でも検査を行っていますのでご相談ください。まだまだお話ししたいことがあるのですが、きりがないのでこのくらいにしておきます。今回は心房細動のお話でしたが、もちろん心臓病やそのほかの病気の予防にもつながる話ですので是非参考にしていただけますと幸いです。