こんにちは。前回は心不全の原因・診断方法・治療法についてお話ししました。本日は心不全について、3回目です。「もし、心不全と言われたらどうしたらいいか」について、お話しします。心不全と言われたら・・・医者から「あなたは心不全です」なんて言われたら、かなりショックを受けられる方が多いのではないかと思います。でも、心不全は患者さんの協力があれば悪くなるスピードをゆっくりにすることもできる病気です。まず心不全の管理目標は、入院するような悪化を防ぐことです。心不全はずっと抱えていく慢性の病気ですが、急に悪化して入院してしまうことがしばしばあり、入院してしまうと患者さんの身体機能は階段状にガクッと落ちてしまいます。よって、なるべく入院しないように管理していくことが大事です。そのために必要な生活指導は私たちが外来で行っていきますが、ご自宅での管理は患者さんご自身で行っていただく必要があります。心不全悪化を予防するために大事な事心不全と言われたときにした方が良い事をまとめました。塩分や水分の取りすぎに注意する事内服をちゃんとする事脈拍や血圧・体重変化やむくみなどの状態を毎日チェックして、変化に気が付くようにする事適度な運動をする風邪(感染症)をひかないように気を付ける心不全は体に水が溜まってしまう事が多い病気なので、毎日体重やむくみ、血圧などをチェックして、水分量・塩分量に気を付けることで、悪化していく前にある程度軌道修正することができたりします(ただし、心不全の重症度やタイプによっては、塩分を控えすぎると悪くなることもあるため、医師に相談してください)。自分で軌道修正ができないと思ったら、早めに医療機関に相談いただく事で治療を強化すれば、悪化を防ぐことができます。内服をちゃんと飲むことも大事です。また、適切な運動をすることで、心不全発症を予防する事もできます。やりすぎは禁物ですが、心不全患者さんへの適切な運動負荷を心肺運動負荷試験を用いて考えていくことができます。感染症は心不全悪化の主な原因のひとつです。マスク・手洗いなどの基本的な防御策に加え、インフルエンザ・肺炎球菌などの予防接種も重要です。その他も禁煙であったり、節酒、ストレスを避けるなど・・・やれることはたくさんあります。もちろん、重症度によってはどうしても管理が難しいこともあるのですが、自己管理をしっかりすることで、悪化するスピードはゆっくりになります。それぞれ患者さんによって対策は異なるため、正しくは主治医と相談していただくと良いと思います。これからの時代は多数の方が心不全を抱えながら生きていく超高齢化社会です。心不全と言われても、病気のない人よりイキイキするために一緒に考えていきましょう。