こんにちは。ここ最近、麻疹患者さんがたびたび報告されており、ニュースになっています。最近では新型コロナウィルスのパンデミック、2024年末~2025年始にかけてインフルエンザの流行があり、ここ1-2週間は当院では新型コロナウィルス感染症の方が多いです。感染症は人類にとって非常に大きな問題ですが、正しい理解が難しく、ちまたで行われている予防法も玉石混合です。そこで、少しでも皆さんの予防対策のお役に立てるように今回は麻疹について詳しくお話ししていきたいと思います。麻疹は空気感染・・・空気感染ってなに?麻疹(はしか)は、麻疹ウィルスによる感染症です。症状は後述しますが、麻疹の一番の特徴であり大事なことは空気感染することです。空気感染は飛沫核(ひまつかく)感染ともいいますが、飛沫(ひまつ)とは、簡単に言うと細かい水の塊と思ってください。咳やくしゃみなどと一緒に出る小さな水の塊です。では、飛沫核は何かというと、飛沫に囲まれている中心部の核です。ウィルスが人から人に感染する際に飛沫のまま移動して感染していくか、飛沫の水分が蒸発して核の部分だけで感染するかが飛沫感染と飛沫核感染の違いです。飛沫は水滴ですから、重いです。重力ですぐ落ちるためそんなに遠くに行きません。2メートル離れれば飛沫からの感染は起きないといわれています。それに対し、飛沫核は軽いので、長時間フワフワ空気中を漂います。そのため、同じ部屋に少しいたり、隣の部屋にも簡単に感染してしまします。そのため飛沫核感染は空気感染と呼ばれます。空気感染するのは麻疹、水痘(水ぼうそう)、結核の3種類だけと言われています。ちなみに新型コロナウィルス感染症のパンデミックの際はその感染様式がとても議論の的になりましたが、飛沫感染がメインの感染と考えられています。(注:ただし、諸説あります。エアロゾル感染という概念もあり、新型コロナはただの飛沫感染だけではなさそうです。感染様式は実は飛沫・飛沫核だけではなくグレーな領域もあるのではないかと言われています。ややこしいのでこれは今回はこれ以上お話ししません)麻疹の症状のピークは、2回ある!?話がそれました。麻疹の話に戻していきます。麻疹は免疫が無い場合ほとんどの方が感染します。以前かかったことがあるか、ワクチンを打って抗体が十分にある方は感染しません。症状は二峰性で出ることが多いです。つまり、2回症状に山があることになります。典型的な経過では、特徴的な症状である発疹は最初は出ません。最初の症状は 38度前後の発熱+咳・鼻水・目の充血などの風邪症状で一度熱が下がります。次に、再び熱が高くなり39.5度以上になるのと同時に、からだに発疹ができます。典型的な症状は↑のような症状ですが、修飾麻疹といって一部の症状しか出ない麻疹もあり、診断は難しいことがあります。合併症として肺炎や中耳炎、脳炎などがあります。それほど多いわけではないのですが、肺炎や脳炎は重症化してしまうこともあります。麻疹は一般的に潜伏期間が10-12日間と言われ、他人にうつしやすい期間は発病前1日~解熱後3日間と言われます。発疹がでるのは2つの山の後半ですから、麻疹を疑った時には感染してしまっている恐れがあります。麻疹は海外では流行しています。海外旅行後の方で上のような症状がある方は特に注意が必要です。日本では感染は抑えられていますが、海外からの旅行者を発端として、たびたび流行することがあります。麻疹の治療と予防法麻疹の治療はほとんどの場合特別な治療方法はありません。基本的には風邪と同じような対症療法です。麻疹は空気感染ですから、簡単にうつってしまいます。しかも上述のように、患者さんが麻疹を疑われる前に周囲にうつってしまう可能性が高いです。ですので予防接種で免疫を作っておく事が最大の予防方法です。当院でも麻疹の予防接種は行っております。ご相談ください。