新年あけましておめでとうございます。本年のブログ第一弾は、循環器の病気シリーズ不整脈編の続きです。 →第一回前回は心臓を動かす正しい電気の流れ「刺激伝導系」について、また刺激伝導系の正しい流れ以外の電気の流れが「不整脈」である、というお話をしました。今回は不整脈の中でも健診で指摘されることが多いものとして、「期外収縮」についてお話ししたいと思います。期外収縮とは健診の心電図で最も指摘されることが多い不整脈が「期外収縮」です。刺激伝導系以外の部分から異常な電気的興奮が起こって、心筋が決まったリズムより早く(期外)収縮してしまう、という不整脈です。心房が原因のものは上室期外収縮(心房は心室の上の部屋だから上室です)、心室が原因のものは心室期外収縮といいます。今回は心室期外収縮の例を挙げます。上の心電図の青い〇の部分は心室期外収縮です。期外収縮の部分は通常のタイミングより早めに電気が出ている事がわかります。上室、心室ともに期外収縮は健康な方にも起こりうる不整脈で、数が少なければ問題にならないことも多いです。ですが、数が多い場合や心筋梗塞や心筋症などの基礎の病気がある方では問題になる事もあったり、今はよくても将来の病気が隠れている可能性があります。それを踏まえて心臓の検査をしていただく必要があります。期外収縮の症状はどんなもの?上室でも心室でも、期外収縮には症状がある場合もない場合もあります。症状がある場合は「心臓がとまる」「のどがつまる」「胸が圧迫する」「脈が飛んでいる」のような表現であることが多いです。症状がない場合も多く、健診で言われるまで気が付かなかったという方もいらっしゃるかと思います。難しいのは、症状はあるけれども心電図で見つかっていない場合です。不整脈を診断するためには症状が起こっている時に心電図を確認する事が必要ですが、症状が病院で起こるとは限りません。期外収縮の診断は?無症状で健診で指摘された方を除いて、症状があって病院に受診される場合は、その胸の症状が不整脈なのか、狭心症なのか、それ以外なのか診断する必要があります。経過や状況をお聞きして不整脈を疑う場合は、心電図で証拠を見つける必要があります。そのための検査としては、24時間心電図(ホルター心電図)運動負荷検査その他の心電図チェックデバイスがあります。24時間心電図は文字通り、24時間簡易的な心電図を体に装着して生活していただく方法で、診断のために最も有効な手段です。運動負荷検査は、心電図をつけたまま運動していただく(当院では自転車です)検査です。運動負荷時や負荷終了後に期外収縮がでたりすることがあります。その他のデバイスとしては、apple watchは精度も高く、診断の助けになる場合があります。ちなみに上の心電図はapple watchで記録したもので、私の心室期外収縮です。当院では、それ以外にも自宅で心電図を記録する携帯できる機器を、必要な方にお貸しだししています。期外収縮の治療期外収縮には治療が必要な場合とそうでない場合があります。症状が強い場合、重症な不整脈になりそうな場合、心臓の機能を悪くしてしまいそうな場合などは治療を選択します。治療する場合は薬剤やカテーテルアブレーション治療を行う場合もあります。飲酒や睡眠不足、ストレス、コーヒーなど関係している場合があり、生活習慣の改善で良くなる方もいます。それぞれの患者さんによって効く薬が違ったり、治療法が違うこともあり、十分相談させていただいて考えていくことになります。次回は「心房細動」についてお話しします。