こんにちは。今年はとても暑い夏です。でも、外に出る事だけですら命の危険を感じる猛暑の中、90歳を超えてもしっかり歩いて来院される患者さんもいらっしゃいます。当院に受診される患者さんの多くは心臓や肺の病気を抱えていらっしゃるのですが、それを感じさせないようなスムーズさで外来の扉をご自分で開けて診察室に入られる方もいらっしゃって、驚く事もしばしばです。90歳まで自力で歩く筋力を維持するのは容易ではありません。その理由は後でご説明しますが、そんな素敵な高齢者になるにはどうしたらいいのか。今回から数回にわたって、運動による病気の予防・体力低下の予防についてお話しをしたいと思います。たった1日の安静で、人は1~3歳年をとるいつもの坂道や、自宅の階段を上って、「最近年を取ったなあ・・・」と思う事があると思います。年齢を重ねると筋力が落ちる事は当たり前のように感じますが、実際どの程度筋力が落ちるのでしょうか。人間は20歳以降、1年間で1%程度の筋肉量・持久力の低下を認めるといわれており、年を取るにつれて筋力が落ちていきます。年を取ったなあと徐々に自覚していくのも当然なのです。さらに、風邪をひいて数日寝ていたり、外科の手術後の数日間の安静ののち、立ち上がるのに体が重くて・・・という経験がある方もいらっしゃると思います。それもそのはずで、1日の絶対安静で人間の筋肉量は1~3%程度低下するといわれています。人間が年をとる中で、自然と筋力が低下していくと同時に、突発的な病気やけがで筋力はさらに大きく低下していまいます。そんな中で、筋力・体力を維持し、90歳台まで歩行できる体を維持しているというのはとてもすごいことです。私が外来で驚いてしまうのには、そんな理由があるからです。「筋力は年々衰え、病気でさらに大きく衰える」そんな中、筋力・体力を落とさないために内科的、外科的治療に運動を組み合わせて治療する「運動療法」をすることは今では当たり前ですが、そうでもない時代もありました。次回、そんな運動療法の変遷について、心筋梗塞を例にとってお話ししたいと思います。