こんにちは。9月から10月初旬にかけて講演会や雑事が非常に多く更新が遅くなって申し訳ありません。医療コラムの続きです。前回は、心筋梗塞における運動療法の変遷~心臓リハビリの誕生までお話ししました。今回は心臓に対する運動療法の実際についてお話しします。心臓に対する運動療法心筋梗塞、心不全などの心臓病の予防・予後改善について運動療法が効果的であることはお話ししましたが、実際はどのような運動をしているのでしょうか。まず、運動には3種類あります。①有酸素運動(持久力運動) 有酸素代謝が行われる強度の運動、つまり酸素を利用してエネルギーを作る運動 です。交感神経があまり亢進しないので、心筋梗塞や不整脈を起こすリスクが少 ないことが特徴に挙げられます。②レジスタンストレーニング(筋トレ) 筋肉に負荷(レジスタンス)をかけ、繰り返しおこなう運動です。筋力・筋肉量 の向上が見込めます。③ストレッチ 筋肉や関節を伸ばしたりすることで、筋肉をほぐして血行の促進をして、けが防 止、疲労回復をします。それぞれとても大事な運動で、組み合わせることで運動療法を行います。心臓病患者さんの運動の代表として心臓リハビリの運動療法の一例をご紹介します。 ①5~10分程度のストレッチ+軽度有酸素運動からなるウォーミングアップ、 ②20-30分程度『運動処方』に基づく強度の有酸素運動+レジスタンストレーニング、 ③5~10分程度のストレッチ+軽度有酸素運動からなるクールダウン、と3stepで終了としている心臓リハビリ施設が多いです。簡単に言うと、「ウォーミングアップ→有酸素運動+筋トレ→クールダウン」となります。身体の状態によって、レジスタンストレーニングのみで行う人もいれば、有酸素運動を中心にする場合もあります。さて、ここで「運動処方」という言葉が出てきました。処方と言えば内服薬が一般的ですが、実は運動にもそれぞれの患者さんの体の状態にあった処方箋があるのです。一口に有酸素運動と言っても、患者さんによって効果的な運動負荷は異なっています。アスリートの有酸素運動と、全く運動していない方の有酸素運動の負荷の強さは異なっています。のんびり散歩が有酸素運動の方もいれば、ジョギングが有酸素運動になる方もいます。自分の適切な運動がいったいどのくらいかイメージするのが難しいため、運動に対して消極的になってしまう心臓疾患の方は少なくありません。そこで、それを明らかにすることで処方される、それぞれの患者さんに適切な運動が運動処方です!次回、「その人に適切な運動=運動処方箋」について お話しします